シズルの憂鬱



シズル 「はぁ……」
ナツキ 「どうしたんだ?」
シズル 「あぁ、ナツキ。ウチ苦しいんどす」
ナツキ 「だから、どうしたんだと聞いている」
シズル 「うん、もう、いけずやなぁ。もうちょっと優しくしてくれても、バチあたりまへんえ?」
ナツキ 「お前の、そのため息には苦い思い出しかないからな」
シズル 「はぁ……、最愛のナツキにまで見限られて、ウチはなんて幸薄い女なんやろか」
ナツキ 「なにを言ってるんだが。じゃあ、言ってみろ」
シズル 「シズル、どうしたんだ? お前の悩み、私でよければ聞いてやろうか?」
ナツキ 「私の声色つかって、なんのマネだ?」
シズル 「最初の頃は、こんな感じで本気で心配してくれたのに。ナツキ、ウチのことに無関心
     になったんとちゃう?」
ナツキ 「無関心にさせたのは、お・ま・え・だ、シズル」
シズル 「記憶にございませんなぁ……」
ナツキ 「忘れたというのか? ならば思い出させてやろう!」
ナツキ 「先月のプールの一件。ため息をついて深刻な表情をしていたお前を心配して、声をか
     けてやったのに、なんていったか覚えているか?」
シズル 「さぁ?なんのことですやろか?」
ナツキ 「ウチ、ナツキの浮気の仕返し、葱にするか、三角木馬にするか、本気で悩んでるんど
     す」
シズル 「ウチの声色、うまい事マネ出来ましたなぁ」
ナツキ 「冗談だと思っていたら、その後、考えるの面倒だから、両方しましょか? って言っ
     て、散々苛め抜いてくれたのは、どこのどいつだ?暑い時期だというのに、おかげで長
     袖でトックリの服が脱げなくなったではないか!」
シズル 「それは、ナツキがナオさんに浮気心持つからやと思いますえ?」
ナツキ 「持ってなどいないと言ってるだろうが!」
シズル 「大体過ぎたことをグチグチいうてたら、眉間に皺が出来ます、学園長」
ナツキ 「グチグチ言わせてるのは、お前だ!」
シズル 「でも今回のは、ほんまに悩んでるんどす」
ナツキ 「フン、どうだか?」
シズル 「信じてくれへんの?」
ナツキ 「……」
シズル 「そう……、ええんよ。ウチ、ナツキがどう思うてようと、ナツキの傍で一生居るって決め
     たから、こんな辛い仕打ち受けても、挫けんと頑張ります」
ナツキ 「……」
シズル 「チラッ」
ナツキ 「……」
シズル 「ほんま、堪忍や、ナツキ。ウチちょっと旅に出て反省してきます」
ナツキ 「……」
シズル 「チラッ」
シズル 「止めても、行きます。しばらくは探さんとって。ナツキ、ウチを許したってな。うぅぅぅっ…
     …」
ナツキ 「……分かった! もう、お前には負けたよ。私でよかったら、お前の悩み聞かせてくれ
     ないか、シズル?」
シズル 「あぁ、やっぱりウチのナツキやわ。嬉しい!」
ナツキ 「こら、抱きつくな! もう仕方のないやつだなぁ」
シズル 「あんな、ナツキ。この間、鴇羽巧海頭の替え玉に、尾久崎晶っておったやろ?」
ナツキ 「ああ、あの忍者か。それがどうした?」
シズル 「あの忍者、実は女の子やってん」
ナツキ 「ああ、一応報告は聞いているが……」
シズル 「カルデローべにいてる女の子達もいいんやけど、あの中性っぽい雰囲気がこう……」
ナツキ 「ほほう……(怒)」
シズル 「捕まえようと思って抱きしめたら、思わずキュンってしてしもうて。アリカちゃんがこうへ
     んかったら、どうなってたことか。今思い出しても、ぞっとします」
ナツキ 「恐らく最後の台詞は、尾久崎晶のためにあると思うぞ」
シズル 「ウチにはナツキという愛すべき人がおるのに。あかん!こんな気持ちになってしもた
     ら、ナツキと一緒におられへんようになってしまう!」
ナツキ 「聞けよ、人の話」
シズル 「このウチの罪を償うには、二つしか道はありません!」
ナツキ 「却下だ」
シズル 「まだ何も言うてへんよ?」
ナツキ 「聞かなくても分かる」
シズル 「ほな、何やと思うのか、聞かせておくれやす」
ナツキ 「どうせ2択といっても、最終的には私を押し倒すつもりだろう?」
シズル 「……」
ナツキ 「どうだ。図星だろう?」
シズル 「ナツキはウチの事、肉欲獣か何かと思ってはるん? ウチは、ウチは……悲しい……
     ウッ、ウッ、ウッ」
ナツキ 「し、シズル、何も泣くこと。す、すまなかった。私が悪かった。お前の悩みなのに、変に
     勘ぐってすまなかった」
シズル 「いいえ、もうウチの心はズタズタどす。」
ナツキ 「ほ、ほら、もう泣き止め。ほら、飴をやるから」
シズル 「ウチは子供やあらしません!」
ナツキ 「ああ、もう困ったなぁ。何でもするから、泣き止んでくれ、シズル」
シズル 「ほんまどすか?」
ナツキ 「ああ、ほんまだ」
シズル 「そしたら、ウチの受けた心の傷、ナツキの胸の中で癒したい……ぽっ」
ナツキ 「もう、仕方ないなぁ。そら、これでいいのか?よしよし」
シズル 「ナツキ、あかん、もう我慢できません!」
ナツキ 「こ、こら、シズル! どこに手を入れるんだ? やめろっ! そこは汚い……あっ、駄
     目……ぇ……」
シズル 「ごめんな、ナツキ。やっぱりたまには愛を確かめあわんと、心配になってしまいますん
     よ」
ナツキ 「くっ、あっ……。は、図ったな、シズル……」
シズル 「フフフ、ナツキは悪くないんどす。ナツキのこの身体が、ウチを誘惑するんどす」
ナツキ 「私とて、ガルデローベの学園長だ。無駄には、やられん!」
シズル 「あぁ、ナツキ、そこは、あかん!」


マリア 「まったく、昼間っぱらから、何をしてるんだか。あ、そこのあなた達。今は、校長室に近
    寄っては駄目ですよ!」
生徒A 「はい、すいません」
マリア 「なんで私がこんな役をしなきゃならないんだか……。はぁ……憂鬱ですね」


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